お見合い相手は、アノ声を知る人
「……いいえ、五つ離れてますよ。月野さん」


よく通る声が響き、私はその人に視線を向けた。
白いワイシャツに日焼けした素肌の彼は、均整の取れた横顔をしてる。


鼻筋が高いなぁ…と見てたらこっちを振り向き、ドキッとして正面から顔を眺めた。


ダークブラウンの前髪が額に短くかかり、眉毛は斜め上にカットされてる。

その下の目元は二重で彫りが深くて、生え揃った睫毛の長いことと言ったら見事だ。

 
頬骨の位置も高くて引き締まっているし、唇は上が少し薄くて下が厚い。

腕と同じくらい顔も日焼けしていて、ゴルフ焼けか海水浴にでも行ったのかな…と思わせた。



「そうか、五つも上だったか」


わっはっは…と笑う祖父の顔を眺めながら、お見合いの割にはいい加減だな…と少し思う。


そもそも釣書も写真も見せずにいきなりこんな場所でお見合いなんて変だ。

それってどういうことだ?…と若干疑問に思い始めた。




「……お待たせ致しました」


オーダーしていたコーヒーとアイスティーが届き、四人でカチャカチャと音を立てながらシュガーやミルクを混ぜる。

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