お見合い相手は、アノ声を知る人
そう思うのに長い物には巻かれる。

どんな歴史が絡んでるのかは結局聞き出せなかったけど、今の私はご先祖様でさえも恨みたいくらいの心境だ。

でも……




(………お祖父ちゃん……ごめんね………)


本当は自分の所為だということは誰よりも私が一番よく知ってる。


流されてはいけなかったのに流された。
受け入れてはいけないのに、あの人のことを受け入れてしまった……。


全てはあれが間違いだったんだ。
今の私は天罰を受けてるだけーー。


(……でも、もう十分過ぎるくらい反省もしたよ。
なのに神様、まだ足りませんか……?)


仕事も辞めて実家へ戻った。
思い出の残らないよう、全てはゴミに出したのに。


(なのに、まだ不十分?いつまで心が冷え切ってればいいの……)


真夏なのに心が冷たい。
真っ暗で光も差さない中、私はずっと謝ってる。


『ごめんなさい……もう二度と同じことはしませんから……』


ぎゅっとベッドカバーを握りしめて涙に暮れた。


その夜、祖父がやっと小早川家との歴史について話そうと言ってくれたーーー。


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