お見合い相手は、アノ声を知る人
ご恩は必ず……
お風呂から上がり、祖父に呼ばれて部屋に入ると、畳の上には一畳分ほどの巻物が広げられ、それには『月野家家系図』と墨の文字で書かれてあった。


その前に胡座をかいて座ってる祖父は、「これから話すことを心して聞くんだ」と言った。


(…うっわー、何だか厄介そうな雰囲気……)


面倒くさいな…と思ってしまった。
嫌々だけど興味もあるから紙を挟む様にして、祖父の向かい側に正座した。



「これを作ったのはこの人だ。月野直義(ただよし)。ワシの曾祖父さんにあたる」


「お祖父ちゃんの曾お祖父ちゃん?」


先頭に書かれてある名前を確認し聞き直すと、祖父は真面目そうな顔で頷く。
ふーん…と声に出して納得したら祖父の重たい口が開かれた。


「この人の子供…つまり、ワシの祖父さんは、一臣様の祖父とは異母兄弟にあたるんだ」


「…へ?」


異母兄弟?と驚き、目を祖父に向けた。
親戚だったの?と聞けば、そうではないと言いだす。

意味が分からず、どういうこと?と問い直すと、これから話すことは他言無用だ…と言いだした。



(うっわー、ますます面倒くさそうな感じー……)


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