お見合い相手は、アノ声を知る人
聞きたくないな…と思う矢先から祖父の長い話が始まった。


「曾祖父の直義には奥さんが二人おった。その先の妻が産んだ子供が、一臣様の祖父にあたる」


「…え?じゃあこのツルさんというのは後妻なの?」


目をぱちくりとさせて指差すと、祖父はちらっと私の顔を見た。


「そうだ。義忠じいさんの先妻は産後の肥立ちが悪くて、出産後直ぐに亡くなってしまったと聞いておる」


「そ、そうなんだ…」


医療技術も発達してない頃の話だから無理もないかって言うか、ザラだったのかな。


「…あっ、それで、その人が産んだ子供を小早川さん家の養子に出したの?」


なんだ、思ってるよりも単純な話じゃん。


「まあ簡単に言えばそうなんだが、そこには小早川家の方にも事情があってな」


「事情?」


何だろう…と顔を見ると、祖父は小早川家について語りだした。


「小早川家のご先祖様は、名だたる戦国武将のお一人だったと聞いておる。江戸では120万石を統治する外様大名でもあった」


「そ…そう」


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