お見合い相手は、アノ声を知る人
「その藩主の三男が一臣様の曾祖父にあたり、優れた統治能力の持ち主で三男ながら統治する藩の農地管理を任されておった」


うーん、堅苦しいけど、男性は好きそうな話だなぁ。


頭痛くなりそう…と、祖父の顔色を窺う。
真面目そのものの顔を見つめ、それで?と問い直した。


「その方が農地管理をしておった村の中に、わが月野家があり、比較的広い農地の耕作を任されておったと聞いたことがあるんだが……」


「ああ、そう」


イライラしてくる話だ。
歴史の話ってどうしてこんなに回りくどいんだよ。


「それで?その直義さんの先妻の子供がどうして小早川家の養子になったの?」


そこが重要な訳なんでしょうが。


「それは、一臣様の曾祖父の奥方が産んだ子供が死産だったせいだ」


「…えっ死産?」
      

死んじゃった…ってこと?


「そうだ。それで我が月野の子供が小早川家のお子として迎えられた。
幸いにも産まれた日付が一日違いで、我が家の方が先に生まれたんだ」


「えっ?でも、それって江戸時代の頃のことだよね?
身分の差とか煩く言われなかったの?」


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