お見合い相手は、アノ声を知る人
そう言うと体を起こそうとする彼に目を向けながら仰け反り、距離を空けて「ここ何処!?」と訴えた。


「何処って、お言葉だな」


ホテルに決まってるだろう…と言う彼に、「何で!?」と言いながらも自分の格好を確認する。


ちゃんと服は着てる。
金曜日の朝選んだ半袖ブラウスとフレアスカートのままだ。


「あんた、自分が酔い潰れたのを忘れたのか?」


「酔い潰れた?」


何処で…と言おうとして、あっ、あの地下のバーでだと思い出した。

そうなると、ひょっとして此処はあのバーがあったホテルの客室?


目線を走らせるとベッドとライト以外はほぼない空間で、間違いなくそうだ…と気付く。


「あ…あの…」


もしやとは思うけど、この人が此処に私を運んだ?

バーで酔い潰れた…って言ってたけど、たった一杯しか飲んでない筈。梨を使ったカクテルが美味しくて、癖になりそうだと思ったんだ……。


「あんた…酒が飲めないなら飲めないって先に言えよ」


呆れ気味にあんたと呼ぶ人を見て、ううん別に飲めない訳じゃない…と言いたくなってくる。

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