恋するオフィスの禁止事項 ※2021.8.23 番外編up!※

ふたりきりの飲み会

─ゆとりある素敵なスローライフ、あなたの生活にお気に入りの一品を─


そんなスローガンのもと、インテリア、雑貨、ファッション、コスメ……生活に必要なありとあらゆるアイテムが揃う人気ブランド。

それが私が学生時代からずっと憧れて、今では入社して五年になる『株式会社 Slow Life』だ。


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「水野。午後の会議の内容、ちょっと俺にプレゼンしてみろ」

「はい！ありがとうございます！すぐ行きます」

資料の印刷、ミネラルウォーターの用意、トイレでの発声練習。

まだ朝の八時だけれど、私は午後二時の会議のための準備を早々と始めていた。

今日の会議は、私が商品企画部へ来てから初の企画商品のプレゼンをするという、大事な大事な晴れ舞台なのである。

「桐谷さん待ってくださいよ～！」

「どうせ昨日、家でも練習しまくってたんだろ。ほら、さっさと見せてみろって」

一緒に早出して付きっきりで指導をしてくれているこの先輩は、直属の上司でチームリーダーの桐谷利人（きりやりひと）係長。

今日は出社してすぐに、小さな会議室に引っ張り込まれた。

先輩は私が昨日の夜中、ギリギリまで直してメールで送っておいた資料を随分と読み込んでくれていたようで、プリントアウトしてカラフルにラインマーカーが引かれたそれを、すでに手元にスタンバイしていた。