恋するオフィスの禁止事項 ※2021.8.23 番外編up!※
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『from 商品開発部:浅見 佳津子(アサミ カヅコ)
先日のアンケート調査でコスメ以外の話も出たから、雑貨のところだけ結果送っておきます。良かったら見てね。
PS.金曜日の飲み会はどうだったのか報告きてないんだけどー?』
課長にスケジュールを提出してから遅いメールチェックをしたら、浅見さんからメッセージが来ていた。
アンケート調査結果をこっちにも見せてもらえるのはありがたいけれど、浅見さんのことだからきっと追伸の方が本題なのだと思う。
報告とは言っても、一体浅見さんは何を期待しているんだろう。
仕方なく私もそれに対しての返事をした。
『from 商品開発部:水野 旭(ミズノ アサヒ)
ありがとうございます!さっそく見てみます!
PS.金曜日のことなら浅見さんが心配されているようなことは何もないですよ。先輩は、私なら恋愛に発展することはないから飲みに来た、と言っていました』
こんな感じでいいかな。
送信キーを押す前にもう一度文章を読み直してみて、納得してから送信キーを押した。
「おい水野」
「ひゃっ」
キーを押すのと同時に後ろから声をかけてきたのは、桐谷さんだった。
“送信中です”というメーターが一杯になるまでメールの作成画面は消えなくて、私は慌てて手でディスプレイを隠す。
よりによって先輩のことを話題にしている途中に本人がやって来るなんて……!
「何それ。なんかあるわけ?」
「いや、べつに、すみません……」
「メール?」
「いえ本当に何でもないです!あのっ、先輩は何かご用ですか?」
「午後に本部会議があるから、会場セッティング行くぞ。水野も来い」
「はい!」