恋するオフィスの禁止事項 ※2021.8.23 番外編up!※
業務時間内はほとんど仕事の話しかしない桐谷さんが、こうしてプライベートな質問をしてくることは珍しい。
どうしてだろう。ただ単に、気になっただけなんだろうか。
だいたい彼氏がいたら、いくら上司とはいえイケメンの先輩と夜中の十一時までふたりじゃ飲まないし、家の前まで送ってもらうようなことだってしないですって。
会議室に着いてテーブルを輪にすると、そこに資料を並べ、そこに人数分のお茶のペットボトルを一本ずつ丁寧に置いていく。
真ん中にはプロジェクターが先に用意されていて、先輩は電源を入れてちゃんと稼働するかを確かめた。
「プロジェクターの電源は落としておくから、直前でもう一回来てつけといて。あと空けるならそっちの席じゃなくて、あっちな。一番下っ端がここに座ったほうが何かと便利だろ」
「はい」
「次回からお前がやらされるんだからな」
「了解です。ありがとうございます」
「あとひとつ。気になったことがある」
「何でしょうか」
桐谷さんはセッティングを終わらせてテーブルに腰をかけると、ゆっくりと腕を組んだ。
なんだろう……。少しピリピリとした空気に変わっていく。
先輩は睨むような鋭い目付きで、立ったままの私と目線の高さを合わせてくる。
「先輩……?」
「社内メールは私用で使うな」