恋するオフィスの禁止事項 ※2021.8.23 番外編up!※

低くて冷たい先輩の言葉が会議室に響き、私はサーっと血の気が引いていった。

さっきのメール、やっぱり見られてたんだ。

申し訳なさでいっぱいになり、肩が閉じて体が縮こまる。

「すみません……」

「社内メールはあくまで業務連絡のためだけのもんだ。コスメ部門の奴らはああいうメールの使い方する奴多いけど、お前までそれに付き合って私的なメールを返すんじゃねぇよ」

「……はい……」

先輩の呆れたような口調が、胸に突き刺さる。

私が甘かったんだ。先輩みたいになりたいなら何事もストイックになるべきなのに、流されて、浅見さんならいいやと思って甘い考えで使ってしまった。

言い訳なんて出てこない。ただただ、自分が情けない……。

こんな基本的なことを先輩に指摘させてしまい、もうショックすぎて下を向いて謝罪をするしかなかった。

最悪だ……。こんなことで先輩に幻滅されるなんて。

仕事とプライベートをごっちゃにするなって、普段からあんなに言ってくれてたのに……私の馬鹿……。

「気が抜けてんだよ。そうやってズルズル自分に甘くなっていくな。ルールを守ってない奴は大勢いるが、水野、お前は俺の部下だ。お前は守れ。流されんな」

「……はい」

「だいたいメールの内容も間違ってた」

「……内容?」

先輩はテーブルから腰をあげると、私に正面から距離を詰めてきて、後退る私をホワイトボードまで追いやってきた。

「あの、先輩……?」

近、い──


「“お前のこと恋愛対象じゃないから飲みに行った”なんて、俺はひと言も言ってないだろ」

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