恋するオフィスの禁止事項 ※2021.8.23 番外編up!※
「先輩、すみませんでした」
営業部の人がいなくなってから、先輩にもすぐに頭を下げた。
私が青くなっていたのはもちろん先輩に迷惑をかけてしまったからだ。
最初から先輩に助けを求めていたらこんなことにはならなかっただろうし、それって結局は私は桐谷さんがいなきゃ何もできないってこと。
でも先輩はケロリとしていて、いつまでも頭を上げない私の髪をくしゃりと撫でた。
「いや今のはアイツが悪いだろ。せっかくお前が持ってってやろーとしてんのにさ。転んでんだから心配くらいしろっつんだよな」
「いえ、もう、私がそそっかしいばっかりにこんなことになって……」
「水野もさ、俺にひと声かけろよ。手伝ってやったのに。お前がしばらく席外してるから課長にどこ行ったのか聞いたら、ひとりで片付けに行ったって言うし。気になって来たんだよ」
「すみません、なんだか集中して何かしてたようなので、中断してもらうのも悪いし、ひとりでできるかなぁ、と……」