恋するオフィスの禁止事項 ※2021.8.23 番外編up!※
そもそもこの人、なんでそんなことをわざわざ私に聞いてくるんだろう。
荒木さんが先輩と付き合えるかどうかなんて、そんなの私に分かるわけないことなのに。
「私、今のところ同期ってだけで、桐谷くんと関わりがないの。少なくとも、一緒に出掛けたりできるようになれば、今よりは意識してもらえるのかなって思うんだけど・・・。」
「・・・そう、ですね」
「だからそのきっかけ作りっていうのかな?水野さんからもちょっと誘ってみてもらえると助かるなぁって思うんだ」
(・・・ん?)
「私、ですか?・・・え?私が誘うって、何を?」
嫌な予感がした。
書類を取りに来た私を引き留めて、こうして先輩との約束を取り付けようとする荒木さん、こういうのって、先輩にとっては一番苦手なタイプの人なんじゃないかな。
「私含めて三人で飲み会セッティングしてもらえないかな?私のことは友達って言ってもらっていいから。忙しければ水野さんはちょっと飲んで帰っちゃっても全然大丈夫だし」
要は桐谷さんと荒木さんが二人で飲めるように、私に上手いこと下準備をしてほしい、ということ。
「あの、荒木さん、それは、」
「お願い!一回だけで大丈夫だから、ダメ元でもいいし・・・」