恋するオフィスの禁止事項 ※2021.8.23 番外編up!※
アフターファイブの約束
明日は先輩は引き継ぎのため休日出社しなければならないため、二次会は各自別日にて行うこととなり、今日は解散となった。
店の外にはまだ何人か残っている。
私たちはやっと体を離して一緒に外に出ると、そこには女性社員たちが待ち構えていた。
「桐谷さん、一緒に帰りましょう!」
「私たちと方向同じですよね?」
そこにいたのは荒木さんを含めたコスメ部門の三人の女性だった。
浅見さんは酔いつぶれてしまったのでタクシーで帰宅したらしい。
「俺はちょっと、水野送って行かなきゃならないんで」
先輩はそう言って断ろうとしていたけれど、私は大きく首をふった。
「い、いいです!先輩!大丈夫ですから!近いのでひとりで帰れます!」
「え?いいよ送ってくよ。お前んち知ってるの俺だけだろ」
女性たちに誤解されそうな表現をする先輩にヒヤヒヤしたけれど、私の本音は、これ以上先輩に迷惑をかけたくなかったのだ。
先輩は優しいから何も言わないけれど、きっとさっきの私の言葉に幻滅してしまったはず。
“行かないで”
そう言って泣きついてしまったこと。
何より、私はこれ以上先輩の隣を歩くことがつらかった。
今日でお別れなのに、今日先輩のことを好きだと知ってしまったのだから。
「お先に失礼します!」
「あ、おい!水野!!」