恋するオフィスの禁止事項 ※2021.8.23 番外編up!※

先輩を振り切る思いで駆け出して駅のホームまで行くと、ちょうど私の乗る電車が発車する時間だった。

滑り込むようにそれに乗ると、すぐに扉が閉まり電車が走り出した。

ホームにはまだ私を探す先輩の姿があった。

……追いかけてきてくれたんだ。

私は地下鉄の中で目を閉じて、それ以上先輩の姿を見ないようにした。

これが最後になるだろう。

もう先輩と向かい合って仕事をすることもないし、フロアが違えばと偶然顔を合わせることもほとんどなくなる。

もう私と先輩を結びつけるものは何もなくなった。

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