恋するオフィスの禁止事項 ※2021.8.23 番外編up!※
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マンションに着いてエントランスに入り、やっと自分の部屋に帰ってきた。
真っ暗な玄関で靴のバックベルトを外そうとしゃがみ込むと、私はそのままくずれ落ちた。
先輩の顔を思い出して涙が止まらなくて、そのまま玄関で靴も脱がずにしばらく泣いていた。
落ち着いてくると、扉の外から足音が聞こえてきた。
こちらへ近づいてくると思っていたら、その足音の主は今度は私のドアをノックし、ビクリと体が跳ねる。
『……水野。泣いてんの?』
やだ、嘘っ……!
「先輩!? なんでそこにいるんですか!?」
ドアの外から聞こえてきたのはさっき駅で振り切ったはずの先輩の声だった。