恋するオフィスの禁止事項 ※2021.8.23 番外編up!※

私と同じくらい熱い先輩の体温を感じながら、今までの先輩の不安定な態度はきっと私と同じだったんだと気づいた。

プライベートを仕事に持ち込みたくないけれど、相手のことを聞きたくて仕方がない。

気になって我慢できずに聞いてみれば、やっぱりこんなことでは駄目だと何度も後悔した。

私を一人前にしようと突き放したのもきっと自分が異動した後のことを考えてのこと。
それでも私のことが心残りだったから、優しくしたり、そしてまた突き放したり、そんなことを続けていたんじゃないかと思う。

先輩はずっと私のことで揺れていたんだろう。全部、私と同じだ。

「先輩の気持ちが分かって嬉しいです」

するりと体を離してみると、先輩の透き通るような瞳と見つめあった。

顔を近づけられて目を閉じると、唇に甘く溶けるようなキスをされる。

「水野……」

この間、額にされたキスとは違う。

熱を帯びた深い深いキスだった。

「なあ水野、お前は俺のことどう思ってんの?」

先輩はキスをやめて、分かりきったことを改めて聞いてきた。

それは普通はキスをする前に聞くべきことなんじゃと思ったけれど、私は正直に答えた。

「先輩のこと尊敬してますし、先輩の作る商品が好きでした。毎日先輩に追い付くことばかり考えていて、私をここに引き抜いてくれたのが本当は先輩だったと聞いたときは、涙が出るほど嬉しかったです。……私もそれは仕事上の感情だと思っていました。でも、違ってたみたいです」

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