恋するオフィスの禁止事項 ※2021.8.23 番外編up!※
たった二週間なのに、先輩に会えなかったことが本当は寂しかった。
仕事熱心な先輩にそんなことを知られたくなくて、必死で隠してきたけれど……。
安心して、ぽろりと涙が出てしまった。
「どうした? 怖い?」
「いえ、うれしくて」
怖さと先輩への恋しさが混じって胸がいっぱいになり、抱き締められながら、私は前髪のかかったおデコを先輩の胸にスリスリとくっつけた。
「素直じゃん、なに急に……かわいいんだけど」
「かっ……」
かわいいと言われることにはまだ慣れない。
恥ずかしくて、さらにギュッと先輩にしがみついた。
「私はいつも素直ですよっ、ずっと先輩に会いたかったんですっ! だって忙しいのに無理して私に連絡くれてると思ってたか……ら私からはしないで、先輩の連絡を待ってたんです。本当はもっと電話とかもしたいんですけど、してもいいんですか? 迷惑じゃないですか?」
「迷惑なわけないだろ。お前連絡しなくても平気な奴のかと思ってスゲーへこんだんだからな。もう俺はお前が何してもかわいいんだから、安心しろ」
「先輩っ、や、そんな……」
「ねえ水野、ごめん、キスしたくなったんだけど……」