恋を教えてください
昔の記憶
ーーーーーーーーーー


「みいちゃん!」

「あ!健ちゃん〜遅いよお〜」




いつも私のこと待たせて!!
ほんとノロマなんだからっ!



「ごめんね、ちょっと転んじゃって」

「もうっ!いいよ!」

「ありがとう」




健ちゃんはクシャッと笑って私に手を差し出す。




「これなに?」




小さくてピンク色の貝殻だ、


宝石みたいにキラキラしてる。




そのとき、風が私たちの間を通り抜けた。




「これはね………………だよ」

「え?なに?」





「だから………………だよ」





聞こえないってば!


今日は風が強い。
声の小さい健ちゃんの言葉は風にさらわれていく。




すると健ちゃんはくるりと背中を向けた。







「健ちゃん?」

「みいちゃん。ごめんね。僕、もういかなくちゃ」





幼い私でも、健ちゃんが言ってることがなんとなく分かった。







「どこに行くの?お家に帰るの?」



「……じゃあね。」



「待ってよ!健ちゃん!!!」






健ちゃん…………!










ーーーーーーーーーーー



< 1 / 59 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop