あなたの為に、唄います
あまりにプリクラを見つめるものだから、エリが少し笑って取っちゃだめだよお?と言う。
分かってるよ、それくらい。
エリはとても舌ったらずな話し方をする。
語尾に母音が残る様な。

「春希くんって何中なの?」

エリに問いかける。また美優がムッとする。
貧乏ゆすりをしていた。
給食おっせえなあ。
小声でそれだけ言って舌うちをし、また携帯を見つめる美優はちょっと怖かった。

「隣の三中だよお。かっこいいでしょ。」

この地域は、まず鉄道で南と北が分けられている。
北は、私やエリが住む少し高級な住宅地。
大型モールもあるが、フードコート等はなくどこか高級な雰囲気が漂っている。
少し窮屈だと感じる人も多い。
南は、美優や大半の生徒が住むマンション地で
庶民的な大型モールに大学があったり、テレビ局があったりと割と開発が進んでいる。
北にも学校はあるのだが、私立で生粋のお金持ちが行くところである。

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