あなたの為に、唄います

朝、3年2組の教室の扉の前に立って絶望した。
鍵が、開かない。
クラスメイトは私の存在に気付いているけど
見えない振りをしている。
エリを探した。美優を探した。
2人は、またいつものように教室の隅っこで
盛り上がっていた。
まるで、私の事を忘れたみたいに。
4組まである中で、友達がいるのは2組と3組だけだった。でも3組に行くのは気が引けた。
音楽ばかり追ってきた私は誰にも相手にされない。
もう少しで朝のホームルームがはじまってしまう。担任に助けを求めるのは流石にダサい。
暫くつったっていると、エリが気づいた。
廊下の窓からあれ?と不思議そうな顔をしているのが分かる。
あかないの。
そう口パクで伝えるとエリは手でOKサインをつくって扉まで行こうとした。
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