孤独姫
それから数日たったある日のこと
「慎くん、今日は先に帰ってて」
「なんかあるの」
「先生に呼ばれてるの」
「待ってようか」
この頃の僕は
今のような
堅苦しい敬語なんて使ってはいなかった
「うんん、大丈夫だから先に帰ってて」
「分かった、また明日ね」
「うん、また明日-」
この時僕は
驚かしてやろうと
下駄箱で待つことにしたんだ
だけど、
途中机の中に忘れ物をしたのを
思い出したんだ
だから取りに行ったんだ
…後悔するとは知らずに
教室について
ドアを開けようとしたとき
中から話声が聞こえたんだ
「綺沙羅よくあいつ落とせたね」
「大変だったでしょー」
「あんなに簡単に落ちるとは思わなかったけどね」
「さすがはまじめ君だな」
「「「「「ぎゃははははは」」」」」」
男女4人の声が聞こえたんだ
最初は嘘だっておもった
だけど、
最近の綺沙羅を見ていれば
なんとなく納得がいった
……だまされてたんだ
そして
忘れ物を取りに来たことすら忘れ
家に帰ったんだ
そして次の日
綺沙羅に別れを告げた
そしたら
「真面目君のくせにいいわね」
そう言われた
「最初からあなたなんて好きじゃなかったわ」
僕は好きだったのに
好きになったのに
「まぁ、あなたで遊べて楽しかったわ」
そう言い残し
綺沙羅はその場を去っていった