a bedside short story
8th.Aug. 流しそうめん
1番珍しい写真を選んでみようと思って並べてみる。
流しそうめん
今夜はこれにした。
********************
残業していたら、私のデスクの端にサイダーが置かれた。
「差し入れー」
緊張感のない声に周りを見回せば、オフィスには、既に私と、サイダーを置いた同期しかいなかった。
「そっちはもう終わり?」
「おうよ。そっちは?」
さらっと誤字脱字を確認して、エンターキーを2回押す。
笑って同期を向く。
「今終わったトコ。差し入れありがと」
サイダーを手に取る。
自販機で買ったばかりだろうキンキンに冷えた缶は、経費削減のために冷房を弱くされたオフィスには有難い温度だった。
「おいしー!」
「ここでビールって訳にはいかないけど、たまにはサイダーもいいだろ?」
「うん!」
「俺ってお役立ちー♪」
「そうだね♪」
「……ホントにそう思う?」
急に真面目な顔になった同期に、眉を寄せる。
「何? 急に」
「俺、お前の役に立ててる?」
「だから、どうしたの?」
「人生って流しそうめんよ?」
「はあ?」
「今捕まえなかったら、二度とチャンスはないよ?」
「全ッ然、意味が判らないんだけど?」
「ホントに? ホントに微塵も判ってない?」
「だってそうめんって何? 今、あんたの話してたんでしょ? 今捕まえておかないと、チャンスはもうないって…………ん?」
「……判った?」
何だか泣きそうな顔の同期に、持っていたサイダーの缶を奪われる。
代わりに、私の冷えた手に絡んでくる同期の指。
熱い指。
「捕まえてよ」
そう言った“彼”の口に、私は唇を捕まえられた。
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残り、あと23枚。
流しそうめん
今夜はこれにした。
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残業していたら、私のデスクの端にサイダーが置かれた。
「差し入れー」
緊張感のない声に周りを見回せば、オフィスには、既に私と、サイダーを置いた同期しかいなかった。
「そっちはもう終わり?」
「おうよ。そっちは?」
さらっと誤字脱字を確認して、エンターキーを2回押す。
笑って同期を向く。
「今終わったトコ。差し入れありがと」
サイダーを手に取る。
自販機で買ったばかりだろうキンキンに冷えた缶は、経費削減のために冷房を弱くされたオフィスには有難い温度だった。
「おいしー!」
「ここでビールって訳にはいかないけど、たまにはサイダーもいいだろ?」
「うん!」
「俺ってお役立ちー♪」
「そうだね♪」
「……ホントにそう思う?」
急に真面目な顔になった同期に、眉を寄せる。
「何? 急に」
「俺、お前の役に立ててる?」
「だから、どうしたの?」
「人生って流しそうめんよ?」
「はあ?」
「今捕まえなかったら、二度とチャンスはないよ?」
「全ッ然、意味が判らないんだけど?」
「ホントに? ホントに微塵も判ってない?」
「だってそうめんって何? 今、あんたの話してたんでしょ? 今捕まえておかないと、チャンスはもうないって…………ん?」
「……判った?」
何だか泣きそうな顔の同期に、持っていたサイダーの缶を奪われる。
代わりに、私の冷えた手に絡んでくる同期の指。
熱い指。
「捕まえてよ」
そう言った“彼”の口に、私は唇を捕まえられた。
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残り、あと23枚。