好きになっちゃったら仕方ないじゃん。


無意識に音楽科の教室の前に来ていた。

あんだけ、音楽を避けてきたのに。

でもね、やっぱり、ちょっと羨ましいって思っちゃうんだよね。

そう思ったら教室を覗いて、そうちゃんを探す。

「あの、誰かお探しですか?」

「すいません!!
えっと、柏木 奏汰くんいますか?」

話しかけてくれた子は、
呼んできます!
って言って教室に入ってた。

戻ってきたら

「中に入ってきて欲しいと……
お名前教えてもらって良いですか?」

あ、自己紹介してなかったんだ。

「はい……
松宮 彩菜です。
あなたは?」

「私は、羽瀬 結菜(ハセ ユウナ)。
とりあえず、どうぞ。」

羽瀬さんについて行って、教室に入る。

誰?
みたいな視線を感じる。
そりゃ、そーだよね、だって、私は芸能コースの人だから。

「彩?!
昼に来るんじゃなかったのかよ?
どーした?」

羽瀬さんにお礼を言って、そうちゃんと話す。

「そうちゃん。
そうちゃんの演奏、また聴きたい。
聴かせて。」

教室が一気に静かになる。
今日は2回目だ……

その時、誰かが

「松宮 彩菜じゃん。
いつも、コンクールで賞取ってた、ピアノの人。」


バレちゃった。
誰か知ってる人はいるとは思ったけど。

そう言われると辛い。

みんな、納得したように元に戻る。


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