好きになっちゃったら仕方ないじゃん。
「この辺でいいかな……
そうちゃんはこの後大丈夫?」
「うん。
俺は大丈夫。」
そうちゃんは優しく笑った。
あぁ、やっぱり、この笑顔好きだなぁ……
特に話したいことはもうないんだよね。
さっき話してたから。
「彩さ、ほんとにあの時の夢、諦めたの…?
さっきの話を聞いてて思ったし、その時の表情見ても、まだ諦めてないような気がするのは気のせい?」
諦められるはずないじゃん。
だってだって、ずっと目指してたものなんだから……
「諦められる訳ないよ。
もう1度、やってみてもいいかな。
夕方からね、撮影あるから、社長に話してみる。
聞いてくれてありがとう。」
そうちゃんは笑顔で、
「わかった。」
って言ってくれた。
それから仰向けに2人でなって、付き合ってた頃の事を思い出していた……
そういえば……
「あのさ、うちのクラスにピアノ置いてあるんだけどさ、聞いてほしい。
そうちゃんの時間が許す限りでいいから…
お願いします。」
起き上がってそうちゃんに頭を下げる。
やっぱり、ワタシはピアノが好きなんだ。
「顔あげてよ。
もちろん、いいよ。」
そう言ってそうちゃんは歩き出す。