好きになっちゃったら仕方ないじゃん。


「この辺でいいかな……
そうちゃんはこの後大丈夫?」

「うん。
俺は大丈夫。」

そうちゃんは優しく笑った。
あぁ、やっぱり、この笑顔好きだなぁ……

特に話したいことはもうないんだよね。
さっき話してたから。

「彩さ、ほんとにあの時の夢、諦めたの…?
さっきの話を聞いてて思ったし、その時の表情見ても、まだ諦めてないような気がするのは気のせい?」

諦められるはずないじゃん。
だってだって、ずっと目指してたものなんだから……

「諦められる訳ないよ。
もう1度、やってみてもいいかな。
夕方からね、撮影あるから、社長に話してみる。
聞いてくれてありがとう。」

そうちゃんは笑顔で、

「わかった。」

って言ってくれた。


それから仰向けに2人でなって、付き合ってた頃の事を思い出していた……


そういえば……

「あのさ、うちのクラスにピアノ置いてあるんだけどさ、聞いてほしい。
そうちゃんの時間が許す限りでいいから…
お願いします。」

起き上がってそうちゃんに頭を下げる。

やっぱり、ワタシはピアノが好きなんだ。

「顔あげてよ。
もちろん、いいよ。」

そう言ってそうちゃんは歩き出す。


< 20 / 24 >

この作品をシェア

pagetop