好きになっちゃったら仕方ないじゃん。
ガラガラ
え、なんでみんなガン見するの……?
「あやちゃん、隣にいる人って、ピアノで有名な人だよね?!
なんで一緒にいるの?!」
あ、そゆーことね………
「んー。
それは言えない、言いたくない。
ごめん。」
そう言って、ピアノの椅子に座る。
だけど、
「なにか弾いてください!!」
ってみんなが目をキラキラさせて言ってる。
はぁ。
連れてこなきゃよかったなぁ。
「いいよ。
あと、椅子1つ貸して?」
何を言ってるのかね、そうちゃんは。
「わかりました!!
何故もう1つなんですか?」
そりゃ、そーだわ。
だって、クラスの人達は、私があの"天才ピアニスト"ってゆーことをしらないのだから……
ぼーっとしてたら
「彩。
いいよな?
モーツァルトのやつ」
あ、あれね。
暫く弾いてないからわからないけど。
「うん。
ところどころ飛んだらごめん。」
そう言ってピアノ椅子に並んで座る。
もちろん、クラスのみんなは
「あやちゃん弾けるの?!」
「ピアノ弾けるって言っても、柏木くんには叶わないわ!」
はぁ。
たしかに、今は叶わない。
でもね?
私の方が昔は弾けてなんだからね?
「まぁ、それは聞いてみてからだね、言うのは。
彩、弾くよ。」
わかった。
無言で頷いてから、私とそうちゃんは目を閉じる。
それから鍵盤に手を置いて、呼吸を合わせる。
始まった。