好きになっちゃったら仕方ないじゃん。
遥香side
彩菜が教室を出て行った。
さっき、ピアノを弾いていたのは、彩菜なの?
わからない。
私の前じゃ、絶対泣かないのに。
なんで?
「松宮さん、やっぱり、あの天才ピアニストじゃないの?」
「誰それ!」
天才ピアニスト……?
もしかしてだけど
「その天才ピアニストって、2年前くらいから姿を消した人?」
そう、天才ピアニストは2年前くらいから、コンサートをやらなくなった。
余計にクラスがざわざわした。
「もし、ほんとにピアニストだったら、今もピアノ弾いてるんじゃないの?
だから、もう、気にしないようにしよ!
」
誰かの言葉によって、もうその話題はなくなった。
悔しい。
もう、一緒に過し初めて今年で3年だって言うのに、あの人の前では泣くの?
とりあえず、今日はなにもないから帰ろうかな。
ガラガラ
「遥香いますか?」
「はるちゃーん
呼んでるよ〜」
もう、こんな時に誰よ。
「はーい。
今行くねー」
そう言ってドアの方に向かった。
「遥香!!
今日、この後空いてる?」
呼んだのはななだった。
「ななか。
空いてるよ。」
ななは、「私の家来て」って言って廊下を歩き出す。
「いきなりどうしたの?」
「んー。
さっき、あーちゃんと柏木くんさ、ピアノ弾いてなかった?」
なんでそれを知っているんだろう……
「なんで?
って顔してるよ。
廊下歩いてたらさ、聞こえてきたの。
あの曲は、あの2人にとって特別だから。」
なるほどね。
「そっか。
教えてくれてありがとう。」
そう言ってななの家を目指す。