秘密の恋
終了の枠の隣の枠に
もう一本線がくっきり出ていた。


「寧々、おめでとう。」


「あ、ありがとう。」


私のお腹の中に赤ちゃんがいる…


まだ正常かはわからない。


でも、ちゃんといる……


頑張ってしがみついてる…


そんな気がした。


「パパですよー」


「気が早いよ(笑)」


「女の子な気がするなー。
嫁には出さんぞー(笑)」


「パパ、娘をいじめないで(笑)」


多分、私達はもうバカ親になっていた。


そして、なんとなく心が軽くなった。


まだ完全に忘れたわけではないかもしれない。


だけど、
自分の命よりも大事なものを
守らなきゃいけない。


母親としての自覚からなのか
すーっと心から彼が出ていった。
< 111 / 120 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop