秘密の恋
「あの…」


お客さんに声を掛けられて
ハッと我に返る。


「失礼いたしました。ご試着ですか?」


「あ、いえ。お店の外で
あの男性があなたを呼んでほしいと
声を掛けられたものですから…」


「え…」


外に目をやると
手を振っている優馬くんがいた。


「すみません。ありがとうございます」


その人に頭を下げ、私はお店から出た。


「今、仕事中なの。
急ぎじゃないなら、後にして」


嬉しさ反面、人に迷惑をかけた彼に
少し苛立った。


「あ、ごめんなさい…。ビックリさせたくて。」


「…」


「近くのカフェで待ってるから
仕事終わったら連絡してくれないかな?」
< 28 / 120 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop