秘密の恋
家に帰ってきて
食材を冷蔵庫に入れていると


「この間の話、今できる?」


優馬くんが話題を振ってきた。


「とりあえずお茶淹れる。
落ち着いて話したいから。」


電気ポットだから
すぐにお湯が涌いた。


何を話そうか
考える暇さえなかった。


私は緊張で震える手を
必死に落ち着かせながら、
お茶を淹れた。


テーブルで待つ優馬くんの前に
お茶を出した。


「何から話したらいい?」


「あれ、本気なの?
お兄ちゃんの他に気になる人がいて
それが俺だって…」


「………。」


私は何も言わず頷いた。


「お兄ちゃんとは上手くいってるんでしょ?」


「上手くいってるよ。」


「なのに、なんで?」


なんで?
私も知りたかった。


冬馬に不満があるわけではない。


でも、


「あなたが心に入ってきたから」


ただそれだけ。
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