秘密の恋
「あ、そうだ。」


ソファに腰掛けテレビを観ていた冬馬が
急にこちらを振り向き話を始めた。


「来週の土曜、母さんがご飯に来いって
じいちゃんの誕生日を祝うってさ」


「あ、そうなんだ。了解。」


冬馬の実家は二世帯で
冬馬の父母と祖父母が同居していた。


家族の誕生日をお祝いは
冬馬と結婚してから私も招待してくれて
何なら私の誕生日も皆がお祝いしてくれる。


義実家に行く、ということは
彼がいるということ。


皆がいるから、余計なことは考えない。
そう、いつもの私。


いつも通りの私たち。


「おじいちゃんに何か買っていく?」


私は冬馬に提案した。
冬馬はテレビから目を離すことなく


「俺が用意するから心配すんな」


と答えた。


「うん…」


なんか、寂しいな…。


こういう時に彼が思い浮かぶ。
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