私と後輩君との恋は、じれったい。
 彩る葉っぱ、彩る葉っぱ、と忘れないように何度も繰り返し呟きながら黒板に向かう安倉君。


 あ、安倉君、字キレイだな。図書委員に向いてるな。手、キレイ…。

 って、何考えてるんだ私。


「書いてきました!」

「ありがとう」

「いえいえ、頑張りましょうね!」

「うん、仕事いっぱいあるから頑張って覚えてね!」

「…自信ないです」


 しょぼん、とあからさまにヘコむ安倉君に、耳と尻尾が見えた気がした。

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