私と後輩君との恋は、じれったい。
 朝靴箱を開けると、大量のゴミや砂と、ボロボロの上靴が入っている。

 教室に入ると、皆が無視する。

 置き勉の教科書やノートは、落書きされている。

 学校指定の体育ジャージは、切り裂かれゴミ箱に捨てられている。

 お弁当もトイレに行っている隙に捨てられ。

 呼び出されては暴力を振るわれる。

 そんな毎日が続いていた。


 それでも先輩と玲香には、「大丈夫」と元気に振る舞っていた。

 嫌われたくなかった。大事な彼氏と親友だから。

 先輩も、私に愛想を尽かすことはなかった。


 だけどそれはすぐに崩れる。


 呼び出され体育館倉庫に行くと、先輩のことが好きな相川という女子がカッターナイフで自分の腕を傷つけた。

 甲高い悲鳴に部員が来ると、相川は「高崎さんにやられた」と嘘をついた。

 もちろん部員には嫌われた。それでも、先輩だけは信じてくれた。


 だけど。

 先輩に呼び出されて告げられたのは、別れ。

 「お前、相川のことをいじめてるらしいな。最低だよ、お前は」


 名前すら呼んでもらえなかった。

 それから私は転校し、玲香とは"家が近いだけの同い年の子"という関係になった。


 高校に入学し、二度とあんなことにならないように明るいキャラを作った。友達だっていっぱい作った。


 恋だけは、絶対にしないと決めた。





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