ご令嬢は天才外科医から全力で逃げたい。
行き交う人々が、爽やかに微笑んでいる慧を見て振り返る。
ジャケットを羽織り長い脚を交差させて、背の高い慧は私を見下ろした姿勢をとっていた。
私の目を見つめ、真剣に語りかけた。
「美桜、生涯君だけを思い続ける事を誓ってもいい?」
「ちょっと待って・・。聞いてないわよ。こんなの!!」
公衆の面前でのプロポーズに大きく目を開いて戸惑う。
何度となく、愛を囁かれて来たけど婚姻届けを手にした現実味のある言葉に私は顔色が一気に青ざめる。
嬉しそうに笑いながら、慧は私の手を取ってそこに冷たい物が収まる。
銀色に光り輝くエンゲージリングに気づいて目を瞬かせた。
「デジャヴだわ・・!!
もう心臓に悪いから勘弁して!!」
私の手を取って見上げた慧の瞳と目が合って、顔がひきつる。
さっきから自分の心臓が五月蠅かった。
絵になる男性が格好良く愛を告げるプロポーズなんて映画や物語の中だけだと思ってた。
「君の名前はまだ山科に囚われたままだろ?」
「そうだけど・・・。」
人に見られてる羞恥心と、くすぐったいような嬉しさで涙目になった。
「約束通り君を檻から出してあげる。
いつか、こんな未来が来る事をずっとずっと願ってた・・。」
「僕には、美桜だけだ。
初めて君を見た瞬間から僕は君に囚われてた。
不器用で、素直じゃなくて、だけど強くて優しすぎる君が好きだ。」
「慧・・・。」
その言葉に、私は彼に完敗したのだ。
息も出来ない程心拍数の急な上昇を感じていた。
あまりの嬉しさに動悸がして、眩暈までしそうな始末だった。
「今すぐ、二条美桜になってくれませんか?」
答えなんて決まっている。
私は貴方しか好きにならない・・。
何度出会っても。
緊張した面持ちの慧を見上げて、震える声でゆっくりと言葉を紡いだ。
「はい。私を・・、二条美桜にしてください。」
くしゃっと目を細めた慧は嬉しそうに微笑んだ。
出会ってからの色々な事が頭に過る・・。
私は騒いで、驚いて、怒って、そして逃げた。
どんな時も私を励まし、その手を放さなかった彼に私は何を言えば良いだろう・・。
「私も約束する・・。
ずっと貴方だけを愛する事を誓うわ。」
見つめあって頬を染めて一瞬瞳を反らそうとした私を力強く抱きしめた。
「その約束、僕が死ぬまでずっと有効だよ?」
涙を浮かべた私は大きく頷いた。
「勿論!お兄様と貴方に教えてもらったわ。
約束は果たすものでしょ。」
私の目を見つめる慧の切れ長の瞳は美しく輝いていた。
気づくと周りには野次馬の人垣が出来ていた。
二人は婚姻届けを提出して、閉まるエレベーターの中に乗り込む。
おめでとうと見送られた私たちは、2人だけが乗っているエレベーターの中で目を見合わせて笑った。
私の肩を掴んで引き寄せた慧は優しい瞳で私を見つめていた。
「結婚式はちゃんと準備をして、改めて盛大にやろうか。
君のドレス姿は誰にも見せたくないけど・・。
その時は君を世界で一番、幸せな花嫁にする。それが君との次の約束・・。」
ハルこと、二条慧は私の耳元でそっと、優しく宣誓をした。
返事をしようとした私の唇はキスで塞がれ、私はそれに応えようと静かに目を閉じた。
----------END------------
side美桜
ENDです。
長く続きました、山科美桜の物語をお読み頂き有難うございました。
感想を投稿頂いたり、この作品の印象を投稿頂けて嬉しかったです!!
このサイトでの初めての投稿作品になりましたが、物語を書き始めてから2カ月目の初心者な者で拙い表現も多かったと思います。
読みずらい部分も多かったと思いますが、読み進めて頂けて嬉しく思います。
温かく言葉をかけて頂いたり、ドキドキ、切なかったと感じて下さったと感想を投稿して下さった方々の作品への印象に嬉しく思いました!!
お蔭様で完了する事が出来ました。
side慧もまた書き下ろせたらと思います。
どうも有難うございました!!
タチバナ
ジャケットを羽織り長い脚を交差させて、背の高い慧は私を見下ろした姿勢をとっていた。
私の目を見つめ、真剣に語りかけた。
「美桜、生涯君だけを思い続ける事を誓ってもいい?」
「ちょっと待って・・。聞いてないわよ。こんなの!!」
公衆の面前でのプロポーズに大きく目を開いて戸惑う。
何度となく、愛を囁かれて来たけど婚姻届けを手にした現実味のある言葉に私は顔色が一気に青ざめる。
嬉しそうに笑いながら、慧は私の手を取ってそこに冷たい物が収まる。
銀色に光り輝くエンゲージリングに気づいて目を瞬かせた。
「デジャヴだわ・・!!
もう心臓に悪いから勘弁して!!」
私の手を取って見上げた慧の瞳と目が合って、顔がひきつる。
さっきから自分の心臓が五月蠅かった。
絵になる男性が格好良く愛を告げるプロポーズなんて映画や物語の中だけだと思ってた。
「君の名前はまだ山科に囚われたままだろ?」
「そうだけど・・・。」
人に見られてる羞恥心と、くすぐったいような嬉しさで涙目になった。
「約束通り君を檻から出してあげる。
いつか、こんな未来が来る事をずっとずっと願ってた・・。」
「僕には、美桜だけだ。
初めて君を見た瞬間から僕は君に囚われてた。
不器用で、素直じゃなくて、だけど強くて優しすぎる君が好きだ。」
「慧・・・。」
その言葉に、私は彼に完敗したのだ。
息も出来ない程心拍数の急な上昇を感じていた。
あまりの嬉しさに動悸がして、眩暈までしそうな始末だった。
「今すぐ、二条美桜になってくれませんか?」
答えなんて決まっている。
私は貴方しか好きにならない・・。
何度出会っても。
緊張した面持ちの慧を見上げて、震える声でゆっくりと言葉を紡いだ。
「はい。私を・・、二条美桜にしてください。」
くしゃっと目を細めた慧は嬉しそうに微笑んだ。
出会ってからの色々な事が頭に過る・・。
私は騒いで、驚いて、怒って、そして逃げた。
どんな時も私を励まし、その手を放さなかった彼に私は何を言えば良いだろう・・。
「私も約束する・・。
ずっと貴方だけを愛する事を誓うわ。」
見つめあって頬を染めて一瞬瞳を反らそうとした私を力強く抱きしめた。
「その約束、僕が死ぬまでずっと有効だよ?」
涙を浮かべた私は大きく頷いた。
「勿論!お兄様と貴方に教えてもらったわ。
約束は果たすものでしょ。」
私の目を見つめる慧の切れ長の瞳は美しく輝いていた。
気づくと周りには野次馬の人垣が出来ていた。
二人は婚姻届けを提出して、閉まるエレベーターの中に乗り込む。
おめでとうと見送られた私たちは、2人だけが乗っているエレベーターの中で目を見合わせて笑った。
私の肩を掴んで引き寄せた慧は優しい瞳で私を見つめていた。
「結婚式はちゃんと準備をして、改めて盛大にやろうか。
君のドレス姿は誰にも見せたくないけど・・。
その時は君を世界で一番、幸せな花嫁にする。それが君との次の約束・・。」
ハルこと、二条慧は私の耳元でそっと、優しく宣誓をした。
返事をしようとした私の唇はキスで塞がれ、私はそれに応えようと静かに目を閉じた。
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side美桜
ENDです。
長く続きました、山科美桜の物語をお読み頂き有難うございました。
感想を投稿頂いたり、この作品の印象を投稿頂けて嬉しかったです!!
このサイトでの初めての投稿作品になりましたが、物語を書き始めてから2カ月目の初心者な者で拙い表現も多かったと思います。
読みずらい部分も多かったと思いますが、読み進めて頂けて嬉しく思います。
温かく言葉をかけて頂いたり、ドキドキ、切なかったと感じて下さったと感想を投稿して下さった方々の作品への印象に嬉しく思いました!!
お蔭様で完了する事が出来ました。
side慧もまた書き下ろせたらと思います。
どうも有難うございました!!
タチバナ