ご令嬢は天才外科医から全力で逃げたい。
帰りの車の中は不思議と、どちらともなく話を切り出す事はなかった。
私は窓の外に輝くネオンの光をぼーっと見つめていた。
「疲れたか?そうだ、来週提出の論文は大丈夫?」
「今朝、書き上げて教授にメールしておきました。後はチェックを待つだけです。」
「もう出来あがったようなものだな。
流石だな・・。仕事もちゃんとしながら、良く頑張ったな。」
運転席の慧がほっとした表情で笑った。
その嬉しそうな彼の綺麗な横顔に、私はドキリと胸が高鳴る。
「ひとつ聞いていいか。今までどうして藤堂との婚約関係を解消しなかったんだ?」
「えっ・・。どうしてそんな事聞くんですか?」
「君は、あいつが好きではないと言うし、8年も会わずに、実家に頼らず一人で逞しく東京で生きてきた。そんな君が、どうして許嫁関係を解消しようとしなかったのか・・不思議なんだ。」
私は、一瞬過去の記憶が過って胸が傷む。
深い溜め息をついて、運転席の慧を見上げた。
「許嫁を解消するのは、あの海君や、うちの両親と戦わないといけないわ。
その労力ったら半端なものじゃないの。それに、そこまで心惹かれる相手との出逢いも残念ながら、無かったの。」
「俺は君が今まで、心惹かれる相手との出逢いが無かった事に感謝しなきゃな。」
ふっと口角を上げて、前を向いた慧に私は動揺していた。
「あの・・!!私は貴方とは付き合えない。
今日は楽しかった・・。一緒に過ごしてみて思ったの、貴方には私なんかより素敵で、お似合いの良い女性との出逢いがあると思うわ・・。もう、こうやって二人だけで会うのは止めにしましょう!!」
キキイ・・。
車が私のマンションの前に停まる。
車内には、張り詰めた緊張感が漂う。
慧は、静かにパーキングにギアを合わせて私を見つめた。
私は窓の外に輝くネオンの光をぼーっと見つめていた。
「疲れたか?そうだ、来週提出の論文は大丈夫?」
「今朝、書き上げて教授にメールしておきました。後はチェックを待つだけです。」
「もう出来あがったようなものだな。
流石だな・・。仕事もちゃんとしながら、良く頑張ったな。」
運転席の慧がほっとした表情で笑った。
その嬉しそうな彼の綺麗な横顔に、私はドキリと胸が高鳴る。
「ひとつ聞いていいか。今までどうして藤堂との婚約関係を解消しなかったんだ?」
「えっ・・。どうしてそんな事聞くんですか?」
「君は、あいつが好きではないと言うし、8年も会わずに、実家に頼らず一人で逞しく東京で生きてきた。そんな君が、どうして許嫁関係を解消しようとしなかったのか・・不思議なんだ。」
私は、一瞬過去の記憶が過って胸が傷む。
深い溜め息をついて、運転席の慧を見上げた。
「許嫁を解消するのは、あの海君や、うちの両親と戦わないといけないわ。
その労力ったら半端なものじゃないの。それに、そこまで心惹かれる相手との出逢いも残念ながら、無かったの。」
「俺は君が今まで、心惹かれる相手との出逢いが無かった事に感謝しなきゃな。」
ふっと口角を上げて、前を向いた慧に私は動揺していた。
「あの・・!!私は貴方とは付き合えない。
今日は楽しかった・・。一緒に過ごしてみて思ったの、貴方には私なんかより素敵で、お似合いの良い女性との出逢いがあると思うわ・・。もう、こうやって二人だけで会うのは止めにしましょう!!」
キキイ・・。
車が私のマンションの前に停まる。
車内には、張り詰めた緊張感が漂う。
慧は、静かにパーキングにギアを合わせて私を見つめた。