ご令嬢は天才外科医から全力で逃げたい。
私は、慌てて車内に乗り込んだ。
「「二条記念病院」なら昨日、ベッドも空きがありました。
受け入れにも余裕があると思います。すぐに連絡してみますね!!」
救急隊も驚いてこちらを見た。
私は急いで救急車を降りると、病院の地域連携室へと電話をかけた。
電話に出たのは、秋元咲。
私の尊敬する先輩だった。
「救急のドクターからも、OKをもらったわよ!こちらに搬送して。」
「はい!有難うございます!!」
私は、救急隊員に搬送先の調整をお願いして急いで救急車へと乗り込んだ。
そのやり取りを、患者の側にいた男性はじっと見つめていた。
私は、彼の視線など全く気付かずに祈るように病院に向かったのだった。
救急車が着く前にストレッシャーを用意した看護師と医師が待っていた。
「守田先生、宜しくお願いします!!」
「ああ。分かった!」
一緒に来た医師も、ストレッチャーで運ばれていく患者に付き添って行った。
外科の守田医師に任せて、場違いなドレスで外来の待合室に座ったのだった。