ご令嬢は天才外科医から全力で逃げたい。
「僕も、ここまで歴史的な壮大な邸は初めてだな・・。重要文化財とかじゃないの?」
「そうですね・・。邸の一部が指定されていたかと思います。」
「すごい!!本物のお嬢様じゃないの・・。
アルバイトしてる美桜ちゃんの姿からはこんなの想像出来ないわ。緊張するー!!」
寛貴や咲も想像以上の邸に驚いていた。
「落ち着いたらどうだ。
目的を持ってここに来たんだから、客間で一息ついたら邸の見学の名目で探し始めよう。
今日はご両親とも出かけている様子だから都合が良い。」
私達は、案内人のメイドに聞こえないように小さな声で目くばせをして頷いた。
出された紅茶とケーキ、焼き菓子などをさっと口に入れた私達はすぐに行動に移す。
客間から、私が邸の案内の名目で私の部屋へと向かう。
部屋の中の家具で、あの鍵がはまりそうな鍵穴を探し始めた。
「わぁ・・。天蓋のベッド!!素敵・・。机も猫足デスク!?可愛い!!」
「こら、咲。ちゃんと仕事しなさい。」
寛貴に窘められて、シュンとした咲先輩は可愛かった。
「いいですよ!!好きに見て触って下さいね。」
「ここには、アンティークの錠穴が入りそうな場所はもうないか・・。次は・・。」
「聖人お兄様の部屋へ案内するわ。ここはこっそり、移動しないと・・。」
兄の部屋は、今は誰も出入りが許されてなかった。
しかし、あの日のままで全ての時が止まった部屋へと息を殺して向かった。
ギギギ・・・。
重厚な扉が開き、懐かしい兄の部屋と入る。
錠穴が入りそうな場所は、アンティークの机か、見たところチェストぐらい・・・。
「これ、何の手紙?」
守田先生が、驚いた表情で手紙2通を指さした。
「お兄様の書いた手紙です。最期に書かれた物だと思います。
でも、暗号めいた物で私に宛てた記述はさっぱり意味が分からないんです・・。」
慧は、そっと机の上の手紙を抜き取って薄い青色の便箋を開く。
「1通は、家族に宛てた物、もう1通は友人や、大学の友人に宛てた物でした。
みんなやはりそれは捨てられないみたいで、何年間も机の上にそのまま置いてありました。」
「美桜へ。いつも、僕を慕い、自慢のお兄様だと言ってくれた可愛い妹。
君の兄として生まれて幸せだった。
もう、二度と君が空腹を感じても箱を満たす事は出来ない。それだけが、心残りだ。
君を残して逝くのだけは心苦しい。どうか、いつか君も自由に羽ばたいて下さい。
山科 聖人・・・。」
慧は顔を顰めて、不思議そうに文章を声を出して読んでいた。
「そうですね・・。邸の一部が指定されていたかと思います。」
「すごい!!本物のお嬢様じゃないの・・。
アルバイトしてる美桜ちゃんの姿からはこんなの想像出来ないわ。緊張するー!!」
寛貴や咲も想像以上の邸に驚いていた。
「落ち着いたらどうだ。
目的を持ってここに来たんだから、客間で一息ついたら邸の見学の名目で探し始めよう。
今日はご両親とも出かけている様子だから都合が良い。」
私達は、案内人のメイドに聞こえないように小さな声で目くばせをして頷いた。
出された紅茶とケーキ、焼き菓子などをさっと口に入れた私達はすぐに行動に移す。
客間から、私が邸の案内の名目で私の部屋へと向かう。
部屋の中の家具で、あの鍵がはまりそうな鍵穴を探し始めた。
「わぁ・・。天蓋のベッド!!素敵・・。机も猫足デスク!?可愛い!!」
「こら、咲。ちゃんと仕事しなさい。」
寛貴に窘められて、シュンとした咲先輩は可愛かった。
「いいですよ!!好きに見て触って下さいね。」
「ここには、アンティークの錠穴が入りそうな場所はもうないか・・。次は・・。」
「聖人お兄様の部屋へ案内するわ。ここはこっそり、移動しないと・・。」
兄の部屋は、今は誰も出入りが許されてなかった。
しかし、あの日のままで全ての時が止まった部屋へと息を殺して向かった。
ギギギ・・・。
重厚な扉が開き、懐かしい兄の部屋と入る。
錠穴が入りそうな場所は、アンティークの机か、見たところチェストぐらい・・・。
「これ、何の手紙?」
守田先生が、驚いた表情で手紙2通を指さした。
「お兄様の書いた手紙です。最期に書かれた物だと思います。
でも、暗号めいた物で私に宛てた記述はさっぱり意味が分からないんです・・。」
慧は、そっと机の上の手紙を抜き取って薄い青色の便箋を開く。
「1通は、家族に宛てた物、もう1通は友人や、大学の友人に宛てた物でした。
みんなやはりそれは捨てられないみたいで、何年間も机の上にそのまま置いてありました。」
「美桜へ。いつも、僕を慕い、自慢のお兄様だと言ってくれた可愛い妹。
君の兄として生まれて幸せだった。
もう、二度と君が空腹を感じても箱を満たす事は出来ない。それだけが、心残りだ。
君を残して逝くのだけは心苦しい。どうか、いつか君も自由に羽ばたいて下さい。
山科 聖人・・・。」
慧は顔を顰めて、不思議そうに文章を声を出して読んでいた。