ご令嬢は天才外科医から全力で逃げたい。
もう1つの約束。
美桜の乗った新幹線が発車し、ホームへと置き去りになった慧は焦っていた。
「二条・・!!彼女は?」
咲と寛貴が駆けつけて来て、ハッとする。
「東京に帰った・・。俺に、さようならって言っていた・・。」
震える声で告げられた言葉を口から吐き出して、涙が出そうになる。
「なんで!?さっきまであんなに幸せそうだったのに。何があったの?」
咲は、悲痛な声でホームの上で叫ぶ。
寛貴は咲を押さえて落ち着かせようと、肩を抱く。
「俺の・・。俺の父親が、彼女の父に殺されたことを知ったんだ。」
その言葉に2人は驚いて目と口を大きく開けて呆然と見上げた。
「・・・ウソ。そんなの、美桜ちゃんのせいじゃないじゃない!!なんで彼女ばかり・・。」
咲が泣きながら、ホームにしゃがみ込む。
支えようとした寛貴もよろめき、一緒にしゃがみ込んでしまった。
「俺のせいだ・・。あの場所であんな事言わなければ・・。
もう少しで彼女の兄に会わせてあげられたのに。」
「そうだ!!二条、病室の場所が分かったぞ527号室だ。
早く行かないと、その彼女の兄も救えなくなるんじゃないのか?」
寛貴の言葉にハッとした慧は、ホーム向かいの次の新幹線へと乗り込んだ。
「守田先輩・・。お願いがあります。先輩と秋元さんには、ここでもう1つやって頂きたい事が出来てしまいました。お願いできますか?」
真剣な慧の表情に、2人は頷いた。
「元々、1泊の予定で来たんだからそれを片付けて温泉でも入って帰るよ。
お前は山科聖人の元へ急げ。彼女の事も放ってはおけないだろ。俺と咲も電話を続けてみるから・・。」
「ありがとうございます・・。いつも、すみません。」
「出世させろよ、未来の院長!!」
「あらー?寛貴ってば、そう言う目論見なの?!
後輩愛だと思ってたのに・・。最低ね!!」
バシッとショルダーバッグで叩かれた寛貴は苦く笑う。
「痛いって・・。言ってみただけだよ。」
秋元咲の明るい笑顔に、少しホッとした慧は携帯を握りしめ深々と頭を下げると座席のほうへと歩く。
咲と寛貴は、急いで慧から聞いた場所へと向かった。
美桜が心配だった・・。
何故、あんなタイミングで話してしまったのだろう。
しかし、山科亨三に聖人の生存を知っている事を知られたからには聖人の命も危ないのだった。
冷静さを欠いてしまった自分もやはり、場に飲まれてしまったと気づく。
「間に合ってくれ・・。頼む。山科聖人を救わなければ意味がないんだ!」
動き出した車窓から見える景色はとっぷりと夜の色を帯びて山間部を駆け抜ける。
ざわざわする胸の不安を表すように光が見えなかった。
「二条・・!!彼女は?」
咲と寛貴が駆けつけて来て、ハッとする。
「東京に帰った・・。俺に、さようならって言っていた・・。」
震える声で告げられた言葉を口から吐き出して、涙が出そうになる。
「なんで!?さっきまであんなに幸せそうだったのに。何があったの?」
咲は、悲痛な声でホームの上で叫ぶ。
寛貴は咲を押さえて落ち着かせようと、肩を抱く。
「俺の・・。俺の父親が、彼女の父に殺されたことを知ったんだ。」
その言葉に2人は驚いて目と口を大きく開けて呆然と見上げた。
「・・・ウソ。そんなの、美桜ちゃんのせいじゃないじゃない!!なんで彼女ばかり・・。」
咲が泣きながら、ホームにしゃがみ込む。
支えようとした寛貴もよろめき、一緒にしゃがみ込んでしまった。
「俺のせいだ・・。あの場所であんな事言わなければ・・。
もう少しで彼女の兄に会わせてあげられたのに。」
「そうだ!!二条、病室の場所が分かったぞ527号室だ。
早く行かないと、その彼女の兄も救えなくなるんじゃないのか?」
寛貴の言葉にハッとした慧は、ホーム向かいの次の新幹線へと乗り込んだ。
「守田先輩・・。お願いがあります。先輩と秋元さんには、ここでもう1つやって頂きたい事が出来てしまいました。お願いできますか?」
真剣な慧の表情に、2人は頷いた。
「元々、1泊の予定で来たんだからそれを片付けて温泉でも入って帰るよ。
お前は山科聖人の元へ急げ。彼女の事も放ってはおけないだろ。俺と咲も電話を続けてみるから・・。」
「ありがとうございます・・。いつも、すみません。」
「出世させろよ、未来の院長!!」
「あらー?寛貴ってば、そう言う目論見なの?!
後輩愛だと思ってたのに・・。最低ね!!」
バシッとショルダーバッグで叩かれた寛貴は苦く笑う。
「痛いって・・。言ってみただけだよ。」
秋元咲の明るい笑顔に、少しホッとした慧は携帯を握りしめ深々と頭を下げると座席のほうへと歩く。
咲と寛貴は、急いで慧から聞いた場所へと向かった。
美桜が心配だった・・。
何故、あんなタイミングで話してしまったのだろう。
しかし、山科亨三に聖人の生存を知っている事を知られたからには聖人の命も危ないのだった。
冷静さを欠いてしまった自分もやはり、場に飲まれてしまったと気づく。
「間に合ってくれ・・。頼む。山科聖人を救わなければ意味がないんだ!」
動き出した車窓から見える景色はとっぷりと夜の色を帯びて山間部を駆け抜ける。
ざわざわする胸の不安を表すように光が見えなかった。