そうして僕らはすれ違う【短編】
ぐるぐる、ぐるぐる、立ち止まっていた私の背中を押したのは、彼だった。
それが本当に彼の言葉なのかはわからない。
もしかすると、私の錯覚かもしれない。
でも、彼の声が聞こえた。
前を向け、と。
それに縋っている私は、きっとまだ、前も後ろもない暗闇の中にいるのだろう。
それでも、彼が、どこかで見ているかもしれないから。
顔を上げて、ただひたすら、歩く。
それが本当に彼の言葉なのかはわからない。
もしかすると、私の錯覚かもしれない。
でも、彼の声が聞こえた。
前を向け、と。
それに縋っている私は、きっとまだ、前も後ろもない暗闇の中にいるのだろう。
それでも、彼が、どこかで見ているかもしれないから。
顔を上げて、ただひたすら、歩く。