不器用恋愛
どうしてこうも彼は昔からこんなに勘がいいのかな。
きっと、嘘ついてもすぐバレちゃう。
でもホントのことは、話せないもん。
「ね、ねえ、真斗くん、また帰りにしない?遅刻しちゃうよ」
「……うん。いいよ」
「!ほ、ほんと!じゃあがっこう行こう!」
珍しく物分りがいいものだ、いつもは私の言うことは聞いてくれないのに。
帰りまでに上手くごまかせる嘘考えなきゃ……
そう、早足で歩こうとしたのも束の間、彼から吐かれる言葉に立ち止まって私は目を見開く。
「遅刻。してもいいよ」
え……?