【完】はじまりの一歩
木漏れ日が木々の間から差し込む神秘的な場所。
だが、そこには誰もいなかった。
そう。誰も
「おーーい。どこいっちゃったの?僕を一人にしないでよ。」
僕を連れてきたはずの猫もいなくなっていて、
ひとりぼっちになってしまった。
もう帰れないのかな?
急に不安が押し寄せてくる。
『・・・・・・る・・・・・』
(はっ)
何?何か聞こえる。
こっちだ!!
見失わないように耳をすませながら走り続ける。
『・・・こ・・・る・・・の・・・』
もしかして、この声は―――
サワサワ
森は僕を歓迎するように揺れていた。