所長による小動物系女子の捕獲計画
何事もなかったように、心配なんてこれっぽっちもしていない風で。でもその後ろ姿は安心の為か、ちょっと力が抜けていて、思わず抱きしめたくなる。

「至急の案件だな」

まだ名切元さんが可愛らしい小動物な事に気付いているのは俺だけだ。でも、この事務所には他に二人も男性がいるのだから油断は出来ない。

ちらりと視線を横に流して真剣に作業に取り組むアシスタント二人を見やる。

前の事務所から俺を追いかけてきた稲田は三十歳。大学院を卒業して教授の推薦で入った櫛田は二十五歳。範囲内と言えば範囲内だ、油断は出来ない。

種類が判別出来た今、一気に距離を詰めたいところだが警戒心の強い彼女にそれは逆効果だろう。強引にいくと取り返しのつかない事になりそうだ。

「ま、仕事しますか」

一旦思考をクリアにして、仕事に集中する。



周囲の景観、街並み、空気が持つ匂い。建物を建てるって事は一つの建造物を作るって事じゃない。その街を形成するパーツを作るって事だ。
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