所長による小動物系女子の捕獲計画
設計する前、どんなに困難でも俺は建設予定地を訪れる。自分の目で、肌で、全ての感覚でその場所を確認するためだ。

施工主がどんなに望んでも、その地にハマらない建物は長続きしない。あっという間に廃れて建て替えられてしまう。

建造物はパズルのピースと同じ、単体ではたいした意味を成さないのだ。

いかに施工主の希望に添いながら周囲に合った、それでいて使い勝手の良い建造物に出来るか。それが俺に求められる仕事だ。


「金を出すヤツの言いなりしか出来ないなら建築士なんて必要ない」

アシスタントにも名切元さんにも変わらず伝えている俺の一番大事な基本姿勢。


その事を思い出しつつ、目の前の図面に向かえば、自然と頭は切り替わる。

まずは俺にしか出来ないやり方で、俺にしか出来ない建物を考えよう。






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