所長による小動物系女子の捕獲計画
内緒話を打ち明けるように、名切元さんに向かって身を乗り出す染谷を無言で書類で叩くと、
パシンっという軽い音と同時に「いってー」という情けない声が響いた。

「大袈裟だな、たいして痛くないだろが」

「痛かったよ。ってより、なんで叩かれないといけないんだよ」

「さあな」

無愛想に言って立ち上がる。

「名切元さん、行くよ」

「え、あ、はい」


染谷は友人としても営業としてもいいヤツだが、調子が良すぎるのが玉にキズだ。女性に対しても距離が近過ぎる。

この感情が名切元さんと距離が詰められないことへの八つ当たりだという自覚はあるが、イライラするのは抑えられなくて。

突然不機嫌になった俺に困惑している名切元さんを強引に促して、さっさと外に出た。





< 24 / 80 >

この作品をシェア

pagetop