所長による小動物系女子の捕獲計画
昨夜、名切元さんに教えてもらった事だ。俺はこのまま、真っ直ぐに進んでいけばいい。

『悪い‥‥いや、ありがとな』

「気にすんな。あ、でも貸しは一つ付けとくからな。なんかあったら返せよ」

おどけて付け加えたら、電話の向こうから「おう、任せとけよっ!」と染谷の笑う声がする。

近いうちに同期の奴等も誘って飲もうと約束して電話を切った時には、俺の顔も自然と緩んでいた。

もう大丈夫だ。安堵の息を吐いた後、隣に気配を感じて振り向くと、名切元さんがいた。

「良かったですね」

笑顔でかけられた言葉に照れ臭くなる。

「ーーいつからいたの」

「さっきです。お電話中だったので、お邪魔しないように控えていました」

「で、聞いた?」

「はい、聞こえちゃいました。でも聞けて良かったです」

「おっさん同士の仲直りの電話なのに?」
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