所長による小動物系女子の捕獲計画
「多和田さんってやっぱり優しいなーって再確認出来た電話だからです。あれって多和田さんからかけたんですよね?」

凛とした笑顔はいつも仕事中に見る名切元さんと同じなのに、服装が全然違うから、どうにも目のやり場に困る。

「それより、随分早かったね。まだ一時間経ってないよ」

誤魔化すように話題を変えたら、なぜか急に名切元さんが赤くなった。

「子供みたいで恥ずかしいんですけど、楽しみで早く行きたくって、猛ダッシュで準備しちゃいました」

「ははっホントだ。まだ髪、ちょっと濡れてるんじゃない?」

短い髪に触れようと手を伸ばしたら、名切元さんが一歩後ずさった。

「‥‥悪い、馴れ馴れしかったな」

昨夜から何度も頭を撫でていたせいで距離の取り方を間違えたらしい。所在なく空に浮いてしまった手でテーブルの伝票を取ると、レジに向かう為に方向を変えた。


「あのっ!違うんです」

背中を引っ張られて足が止まった。
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