所長による小動物系女子の捕獲計画
「莉乃」

名前を呼んで、ウィンカーを出す。

「ここで高速をおりるたら、もう少しで着くから」

「ーーはい」

突然呼ばれた名前に戸惑いながら、小さく返事をした名切元さんの手が膝の上でキュッと握られたのが視界の端に見える。

拒まれなかった事に、気付かれないように静かに息を吐きながら、願う。



今日が終わる頃、俺たちの関係に、上司と部下以外の新しい名前が付いていたらいい。
















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