所長による小動物系女子の捕獲計画
「そうなんですね、だからこのお城もこんなに素敵に変わっているんですね」

案内されたダイニングルームをグルリと見渡した。客間を兼ねているらしいこの部屋は窓が多い。外からは小さく見えた窓も採光は充分で、室内には暖かな光が満ちている。

「日本に来てからはここに引きこもってるから作品数は多くはないけどね。でも才能溢れる素晴らしい建築家で、俺の憧れだ」

「フフッ、ヒロトにそう言ってもらえるのは嬉しいよ。」

コーヒーとクッキーをテーブルに並べながら、アドルフさんが素直に賛辞を受け取った。

「ヒロトの好きなキヨコのお手製クッキーだよ。さっき買い物に出たけど、昼前には帰って来るはずだ」

「ありがとう。清子さんも元気?」

「ああ、最近は草木染めに興味があってね。なかなか私と遊んでくれないんだ」

「ハハッ、じゃあ時間あるんだ。アドルフ、仕事しなよ」

「いいのかい?私が仕事を再開するとヒロトのプリッカー賞受賞が遠のくかもしれないよ?」

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