所長による小動物系女子の捕獲計画
私の頬を撫でながら多和田さんは得意げに説明してくれる。

「ヤマアラシもハリネズミも身体中が硬い針で覆われてるからさ、寒い時に寄り添って暖め合う事が出来ないんだ。そんな事したらお互い、傷だらけになっちゃうから。でも、大好きな相手と寄り添っていたい。だろ?」

それは、分かる。人間でも動物でも一緒だ。好きな相手と寄り添って温もりを分け合って、心地よく過ごしたい。

「で、かれらは試行錯誤を繰り返した。傷付け合わずに温もりを感じられる距離を探して。ま、これは哲学者が考えたんだ寓話だけどな」

「‥‥それで、みつけられたんですか?」

「うん?」

「傷付け合わずに温もりを感じられる距離です。みつけられたんですか?」

「みつけられたよ。そして、俺たちも見つけられる。
この話はさ、何も物理的な距離の話だけをしてるわけじゃない。精神的な、心の距離の話でもあると、俺は思ってる」

私を真っ直ぐに見つめるのは、自身に満ち溢れた多和田さんの瞳。キラキラして、なんだかとても楽しそうだ。
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