所長による小動物系女子の捕獲計画
「莉乃は人と近過ぎる関係を作るの、ちょっと苦手だよね?多分、干渉されたり束縛されたりも得意じゃない。」

断定するような質問だけど、不快じゃない。詮索されてるんじゃなくて、私を正しく理解してくれてるのが分かるから。

コクンと首を縦に動かしたら、多和田さんが嬉しそうに口角を上げた。

「伊達にずっと観察してたわけじゃないからな。多分、莉乃が思ってるよりずっと分かってると思うよ」

「観察、ですか?」

「そう、観察。この小さくて愛らしい生き物をちゃんと理解したいと思ったから、ずっと観察してたんだ」

「あ、あい、らしいって‥‥そんな‥‥‥」

真っ直ぐ見つめたまま、そんな甘い言葉を紡がれては、どうしていいか分からない。心臓は人生最高速度で大きく鼓動をうっているし、全身の肌は真っ赤に染まってるはずだ。ドキドキし過ぎて、このまま失神してしまいそうなくらい。

「体は小さくて、大きな黒い目が可愛いくて、でも仕事してる時の真剣な姿は凛としてカッコよくて。他人と距離をはかるのはちょっと苦手だから、用心深くて、警戒心も強い。ほら、ハリネズミだ」
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