所長による小動物系女子の捕獲計画
明後日、打ち合わせのある仕事があるのだ。さっさと仕事に戻って欲しい。

ついでにアシスタントの二人と自分の分も一緒に淹れて、デスクに戻る。

「多和田さん、どうぞ」

ちなみに、所長という役職名でなく名前で呼んで欲しいというのは、就職した時の彼からの最初の要望だ。

「ありがとう。これで仕事に戻れるよ」

あ、自分でもぼんやりしてる自覚はあったのか。

「よろしくお願いします」

にっこりと答えたら、苦笑で返された。

天才肌の多和田さんは一旦集中したら食事も睡眠さえも取らずに長時間、ぶっ通しで没頭する。かわりに、それまでの時間はぼんやりと自分の思考に浸ったり、ふらりと散歩に行ったり、自由なのだ。

「先週、一件終わったからか、なんか集中出来なくて」

「お疲れ様です。あとでオヤツ買って来ますね」

「あ、じゃあアイスもお願いしていい?」
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